• 「ヒップヒンジ」とは走る、跳ぶ、投げる、打つ、蹴る、、、すべての動作の土台となる股関節の動き
  • 鍛える必要性と幼児でもできるトレーニングメニューを解説します。

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ヒップヒンジ動作とは?

ヒップヒンジとは、股関節を蝶番(ヒンジ)のように折り畳んで上体を前傾させたり、伸ばしたりする動作のことです。人体の中で最も大きな筋肉群(お尻の大臀筋やモモ裏のハムストリングス等)が主導筋として使われ、人体の中でも最大級のパワーが発揮できる動きです。
短距離のスタートダッシュ、ジャンプの着地・踏切、投球動作の体重移動等、あらゆるスポーツの基本動作であり、パフォーマンスの源になります。

Youtube等で大谷翔平がデッドリフトという筋トレメニューを行っている動画を見たことはないでしょうか?
デッドリフトというトレーニングはヒップヒンジ動作を最大限に高めるためのトレーニングで、
今や競技のパフォーマンスアップに必要不可欠なメニューの一つとなっています。

Youtube動画:デッドリフト225kgを上げる大谷翔平
https://youtube.com/shorts/2BHj8t6Ml5Q?si=-zaljL-HJKXkzhrR

幼少期にヒップヒンジ動作を習得する3つの理由

1.神経系の発達が著しい「プレゴールデンエイジ」に当たる

一般に5〜8歳頃は、複雑な運動パターンを神経系にインプットしやすい時期(プレゴールデンエイジ)とされています。
この時期に正しい動作パターンを繰り返しておくことで、その後の技術習得がスムーズになりやすいと考えられています。
逆に、この時期に誤った動作(腰から曲げる、膝が内側に入るなど)が癖になってしまうと、成長後に修正するのに時間がかかるケースも珍しくありません。

2.いま取り組んでいるスポーツのパフォーマンス向上につながる

冒頭でも話したとおり、ヒップヒンジ動作はダッシュ・ジャンプ・体重移動といった競技動作のパワーの源です。正しい動作ができるようになればパフォーマンスは当然向上します。
幼少期~小学校低学年ではまだスポーツを始めたてかもしれませんが、スポーツは上手くなればそれだけ楽しくなるもの。
できる範囲でよいので少しずつ始めてみましょう!

3.スポーツ障害の予防ができる

股関節主導で体を曲げられないと、ジャンプの着地や切り返し動作の負荷が腰椎や膝に集中しやすくなります。
ヒップヒンジを正しく使えるようになることは、腰痛や膝の障害予防の土台としても位置づけられています。
特に成長期は骨や軟骨がまだ未成熟なため、フォームの崩れが繰り返し負荷として蓄積しやすい時期でもあります。

3.将来的な筋力トレーニングの「安全な入口」になる

いまはキッズアスリートでも思春期以降、本格的なレジスタンストレーニング(自重・器具を使ったトレーニング)を行う機会が増えていきます。
その際にヒップヒンジという「型」がすでに体に入っているかどうかで、フォームの習得スピードも安全性も大きく変わってきます。
幼児期~低学年のこのタイミングでは重い負荷をかける必要はなく、「正しく股関節を使って体を曲げ伸ばしできること」自体をゴールしましょう。


一方で競技の中で行うヒップヒンジ動作は全身の力が入った状態で強く動作するものになります。のちのち競技に活かすためには単に動作をおこなうだけでなく、少しずつ重量を持ったトレーニングをしていく必要があります。

⚠️ 大前提として、小学生までの時期にバーベルなどを用いた高負荷トレーニングは推奨されません。この時期の目的は「筋力を追い込むこと」ではなく、「正しい動作パターンを神経系に覚えさせること」です。負荷は自重〜ごく軽いものにとどめ、フォームの乱れが出たらすぐに中止・修正しましょう。持病がある場合や不安がある場合は、体育指導の専門家やスポーツドクターに相談してから始めることをおすすめします。

安全なヒップヒンジ習得・強化メニュー

ステップ1:初めてのヒップヒンジドリル(無負荷)

  • 壁タッチヒンジ:壁から30cmほど離れて足を肩幅に開いて立ち、お尻を壁に向けて突き出すように上体を前傾。お尻が壁に軽く触れたら戻る。
  • スティック(棒)ヒンジ長い棒を背中に沿わせ、頭・背中・お尻の3点を棒に当てたまま前傾できるかをチェック。腰が丸まると棒から背中が離れるので、フォームの可視化に効果的です。

いずれも回数は10回×2セット程度で十分。「速さ」より「まっすぐな背中を保ちながら股関節を曲げられているか」を最優先にしましょう。

ステップ2:プレトレーニング(無負荷)

  • 自重デッドリフト:上記「壁タッチヒンジ」の動作を拡げて、モノを拾って体を起こし切るまで行います。拾うものはぬいぐるみやボール等、軽いものでOK。拾ったら、直立の姿勢になるまで体を起こします。慣れてきたら水を入れたペットボトル等、少し重さがあるもので行っても構いません。

ステップ3:軽ウエイト(ウォーターバッグ)を使った本格ヒンジ動作習得

  • ①ウォーターバッグスイングいわゆる「ケトルベルスイング」と言われるメニューです。ウォーターバッグというトレーニング器具を使います。「自重リフト」で床のモノを拾う瞬間の姿勢を取ります。
    • 股関節がしっかり曲がる
    • 膝関節もゆるく曲がる
    • 背中はまっすぐ
  • ウォーターバッグのハンドルを両手で握ったら、ウォーターバッグが体の前に勢いよく持ち上がるように股関節を強く一気に伸ばします。このとき腕には力を入れず、あくまで股関節の動きだけで持ち上がるようにします。
  • そのままウォーターバッグが落ちてきたら、また床のモノを拾う姿勢に戻り、動作を繰り返します。
  • 以下のようなウォーターバッグであれば、サイズ的に子供でも使いやすいと思います。最初は水の量を1Lくらいから始めましょう。
  • うちの子は4歳後半からこのトレーニングを始め、最初は1.5L入れていた水を半年に500mLくらいずつ増やしていき、6歳後半まで行いました。
  • スイングをやるなら小さめ5kgでハンドルが真ん中に一つだけついているタイプがおススメです。
ウォーターバッグ 5kg

  • ウォーターバッグデッドリフト自重デッドリフトと動きは同じですが、ウォーターバッグにはペットボトルよりも多くの水の量が入ります。ある程度重さのある状態で動作をすることで、競技に役立つ本格的なヒンジ動作を習得できます。
  • こちらもうちの子の場合ですが、5歳後半からスイングと並行して行いました。10kg入るウォーターバッグを使って、最初は5Lの水量から始めました。
  • デッドリフトの場合は10kg以上のウォーターバッグで、ハンドルが左右(右手、左手)についているタイプじゃないとできません。
ウォーターバッグ 10kg

ウォーターバッグがキッズ動作習得に向いている理由

なぜダンベルやケトルベルではなくウォーターバッグなのか?

  • 怪我のリスクが低い:ウォーターバッグは外側はビニール素材、中に水が入っているだけです。固い素材のウェイトと違って、ぶつけた時のリスクが極端に低いです。
  • さを自由に調整できる:水の注水量を変えるだけで、重さ(=負荷)を細かく設定できます。成長や体格に合わせた微調整が可能です。
  • 中の水が揺れることで活きたトレーニングができる:前述のとおり、幼児期~小学生で行うトレーニングはあくまで動作習得のためであり、ジムで行うような重量を求めた筋力強化・筋肥大を目的としたトレーニングではありません。ウォーターバッグは内部の水が揺れることで、軽くても「不安定な重さを安定させる」ことができます。これによって競技で活きる自然な動作の中で、体幹の安定性やフォームの微調整能力が養われます。

ウォーターバッグを利用する場合の注意点

ウォーターバッグは前述のとおり安全なトレーニング器具ですが、一つだけ、中の水の衛生管理に注意が必要です。長期間水を入れっぱなしにすると、雑菌が繁殖したりカビ臭・水垢が発生したりすることがあります。基本的には一度注水したあと、トレーニングのたびに毎回変えるような手間は避けたいものです。以下を目安に管理すると安心です。

  • (水道水を使う場合は)少なくとも1〜2週間に一度は水を入れ替える
  • 直射日光の当たる場所や高温になる車内などでの保管は避ける
  • 使わない期間が長くなる場合は、水と空気を抜いて乾燥させた状態で保管する
  • 破損や膨らみ、異臭に気づいたら使用を中止する

もっと楽に扱いたい場合は、以下のような防腐剤を購入すると良いでしょう。
保存状態によって異なるとは思いますが、我が家の場合は3か月に1回くらいの水替えでも、十分異臭は感じませんでした。

【水替えがラク】ウォーターバッグ カラーパウダー 防腐剤

まとめ

  • ヒップヒンジは走る・跳ぶ・投げるといったスポーツ動作全般の土台になる基本動作
  • 神経系が発達しやすい幼児~低学年のうちに正しいパターンを習得しておくことが、将来の技術向上とケガの予防につながる
  • この時期は高負荷トレーニングではなく、自重〜軽負荷でのフォーム習得を最優先にする
  • ウォーターバッグは負荷調整のしやすさと安全性の面で、ジュニアの動作練習に取り入れやすい器具の一つ
  • ウォーターバッグを使う場合は衛生状態に気を付けて、可能であれば防腐剤を活用する